将棋の戦法は大きく分けると居飛車と振り飛車に分かれます。飛車の位置が初形の位置のまま戦う戦法を居飛車、中飛車や四間飛車など、飛車を左側に動かして戦う戦法を振り飛車と呼ばれます。
■居飛車
居飛車は、飛車を初期位置から動かさずに戦う戦術です。この戦術では、飛車を中央の縦列(中央ファイル)に影響を及ぼせる位置に保持し、そこから敵陣への攻撃や自陣の守りに活用します。居飛車では、飛車を使って王様を守りつつ、銀や金、桂馬などの駒を使って敵陣に圧力をかける戦い方をします。
居飛車を選択するプレイヤーは、比較的堅固な陣形を築き、バランスの取れた攻守を目指します。居飛車には多くの戦法が存在し、それぞれに特徴的な駒組みや戦術があります。
■振り飛車
振り飛車は、飛車を横に移動させて、その飛車の働きを活かす戦術です。飛車を振ることで、相手の陣形の側面や背後から攻撃することができます。振り飛車では、飛車を活用した攻撃を主軸に、角や香車、桂馬などを使って積極的に攻めます。
振り飛車を採用するプレイヤーは、攻撃的な戦いを好む傾向があり、飛車を振ることで敵陣に深く侵入しやすくなるという利点があります。振り飛車にも多様なバリエーションがあり、どの方向に飛車を振るか、攻撃のタイミングなどによって戦術が変わります。
居飛車と振り飛車の主な違いは、飛車の使い方と戦術の性質にあります。居飛車はバランス重視で守りながらじっくり攻めるスタイルであり、振り飛車は攻撃的で積極的に敵陣を目指すスタイルです。どちらのスタイルも将棋の深い戦略と多様な可能性を提供し、プレイヤーの個性や好みによって選択されます。
■プロ棋士の多くは居飛車党
現在トッププロ棋士の間では圧倒的に居飛車党が多いと言われていますが、居飛車が必ず振り飛車に勝てると証明されているわけではありません。現にトッププロ棋士の1人であり、振り飛車党である菅井竜也氏は、順位戦はA級に所属し、2023年は王将戦のタイトル挑戦権を獲得しました。惜しくもタイトル奪取には至りませんでしたが、2023年度は6割以上の勝率を誇り、振り飛車党の期待の星となっています。
また、アマチュアの間では振り飛車は根強い人気があります。理由としては様々ですが、居飛車よりも序盤の研究について、綿密に事前に研究していなくても、ある程度の形を覚えておけば勝負になるという理由で、振り飛車を指している方もいます。
トッププロ棋士となると戦法の選択も重要です。しかし、アマチュアの場合はまずは色々な戦法を指してみて、自分が指していて楽しいと思える戦法を見つけることが、将棋を長く楽しむためには大切であるといえます。
居飛車・振り飛車戦法の種類